別の研究者の教授に、修士の学生時代に貸してただいた本です。
博士学生になった後に読み返すと、
胸に刺さるメッセージが由緒に見受けられました。
言っていることは特別なことではないのですが、
実際に研究し、論文を書き、学会で発表し...
と経験を積むほど、
言葉の重さが実感されます。
研究をしている人が、今一度研究を見つめなおす機会に。
これから研究する人が、指南書に。
いろんな読み方ができるのではないでしょうか。
以下、私に刺さった箇所を数か所抜粋します。
最先端の機器、装置を獲得しただけで、それらが出してくれるデータを得ただけで、最先端の研究をやった気になってしまっている。..... 独動的研究成果は、”自作機器、装置から生まれることが少なくないのである。 (第一章より)
いかに昔の論文であろうと、文献検索手段がなんであろうと、関連分野の重要必須論文をきちんと勉強し、参考文献として引用することは、研究者としての道義、常識、さらには品性であると思う。そして、そのような参考文献をきちんと引用できること自体、その研究者の能力、見識を如実にしめすものであると思う。(第二章より)
駆動力となるのが「こだわり」であり、支えとなるのが「信念」である。(第二章より)
本物の専門家、一流の専門家は決して「専門家」ではないと思うし、「専門家」は決してほんものの専門家、一流の専門家にはなれないと思う。.....自分の「専門」から離れて異分野の”森”に分け入った時こそ、教えられることが多く、専門の道を深めることができるのである。(第二章より)
画期的な、独自的な研究成果であればあるほど認知され、正当に評価されるのは難しいということである。....したがって、自分が研究を発表した時、周囲の研究者あるいは社会にすぐ認知され、よい評価を受けた場合、その研究成果は大したものではないと考えたほうが無難である。(第四章より)