前から気になっていてやっと読めた本です。
まずタイトルが秀逸ですよね。
表紙の絵と合わせて、「え、なに?」と、ぐっと引き付けられます。
なぜ少年たちは非行に走るのか?
そもそも少年院に入るような子供はみな凶悪な子供ばかりなのか?
宮口さんの豊富な経験に基づき、彼らが抱える問題を「認知」がゆがんでいる!という新しい切り口で提示しています。
三等分ができない。等しく平等に分ける、ということができない。
それなのに相手の気持ちがそもそもわかるわけがない。
反省させる以前に、自分のしたことが理解できていない。
でもそれは決して彼らだけのせいではないのです。
知的障害、家庭環境、いじめ...
そうしたストレスが積み重なり、最終的に非行へと走る。
これは、社会や教育の問題でもあると著者は言います。
クラスで下から5番目くらいまでの子供たちは、勉強ができない、ついていけない、などのストレスから(これは決して彼らが不真面目なのではなく、純粋にできない、可能性があります)素行が悪くなる可能性があり、そう思うと他人事でもないですね。
著者の視点はあくまで冷静ですが、少年たちをおもんばかる気持ちが文章の節々に現れています。この本は、非行に走ってしまう子供たちを「ただのワル」ではなく、理解する手助けを与えてくれます。
そして、この本ですごいな、と思ったのは最後の章です。
理解できたのはいいけど、じゃあどうしたらいいの?
たいていの本だと、理解を深めて気長に考え方を変えていきましょうとか、気を付けましょうとかで終わってしまうのですが、実践できるトレーニング方法が書いてありました。教育者ではなくても、なるほど、こうやってトレーニングするのか。と大変面白く読めます。
読みやすい分量で大変きれいにまとまっているので、気になっている方はぜひ自粛中にでも読んでみてはいかがでしょうか!