とんこつたんの本棚

読書と映画、アニメ観賞。いいなと思った作品を紹介します。何読もうかな、何みようかなーと悩んだときに参考にしていただけたら嬉しいです。

だからあなたは殺される 水生大海著

 

 

個人評価:★★★☆☆

ジャンル:ミステリー

 

本屋さんに行けば山積みで並んでいる様子を見かけるような。話題のミステリー小説です。

 

主人公の汐崎正義は新米の警官。

父と母が離婚し妹の持田優羽と別々に暮らしていましたが、母の自殺により、まだ高校生の妹を養うため同棲することにします。

 

そんな中、優羽と同世代の紫苑が殺される事件が発生。

その事件に汐崎が関わることになり、優羽にも情報を尋ねるようになります。

積極手に兄に協力する優羽。

妹の身を案じて気にかけていた汐崎ですが、出世に焦り次第に態度が変わっていきます...

 

殺人事件と並行し錯綜する兄弟の関係。

最後に待つ結末とは...?

 

最後に大どんでん返し!

とまでの衝撃は正直受けませんでした。

しかしながら、小説として楽しむことができました。

最後の結末は、うん、そうだよね、私も思ってたよ!

と、優羽に頷きつつ読みました。

良い読後感の小説です。

 

 

分子レベルで見た体のはたらき 平山令明 著

 分子レベルで見た体のはたらき―いのちを支えるタンパク質を視る (ブルーバックス) 

 ↑は実際に私が読んだ1998年出版のもの。

 

  

カラー図解 分子レベルで見た体のはたらき いのちを支えるタンパク質を視る (ブルーバックス)

私が読んだのは白黒でしたが、2018年にカラーも出ているようです。

こちらは原子モデルも綺麗になってだいぶ読みやすくなっているようです。

 

どの子アミノ酸と度の分子が相互作用して...

と詳細な相互作用が逐一説明されているわけではないのですが(そういうところもある)、有名どころのタンパク質から知らなかったタンパク質まで(私が無知なだけ?)

幅広く一冊にまとまっているのがこの本のいいところです。

 

この本をきっかけに、

気になったタンパク質を詳しく調べてみるのもきっと面白いでしょう。

何より、こんなにたくさんの機能を持ったタンパク質が体の中に存在していることに、改めて驚かされます。

 

今日の当たり前の生活は、

タンパク質がきちんと機能した結果だと思うと、

「自分、生きているだけですごい、えらい」

と自己肯定感がバク上がりです(私だけ?)

 

個人的に面白かったのは以下のタンパク質です。

ですがこれ以外にも数多くのタンパク質が掲載されていて、

短編小説のように読めます。

 

  • 分解すべきタンパク質の目印になるユビキチン
  • 自然が作った完全な触媒 トリオ―スリン酸イソメラーゼ(TIM)
  • 歩いていても血中のCO2が炭酸みたいにプシュッとならない、ありがとうデヒドロゲナーゼ
  • 流れ作業するトリプトファンシンターゼ
  • プロリンのシストランスを変えるプロリンシス―トランスイソメラーゼ
  • 鉄を運ぶトランスフェリン
  • 金属イオンほいほいメタロチオネイン
  • 他の白血球を呼び寄せる、美しいIL8

 

 

 

我々は生命を創れるのか 藤崎慎吾著

我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの (ブルーバックス)

 

近年注目を浴びつつある「合成生物学」

この学問が、どこまで進み、現在どのような研究が行われているのか。

簡潔にまとめられた一冊です。

 

RNAやペプチドから、

膜から、

生物が発生したと考えられる場所から、

など様々な切り口で「生命の起源」と「生物を創る」ことを考えていきます。

 

現在活発に研究をされている研究者の方々も多数登場しているので

これから合成生物学をやりたいと考えている方の進路書として。

 

合成生物学や生命起源、気になるけどまだよく知らない。

という方の入門書として。

 

 

分かりやすい一般用語でか書かれており、

誰にでも読みやすい一冊です。

 

【アニメ】天地創造デザイン部

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★★★★☆

 

天と地を創造した神様。

その後、動物たちを創ろう...としたけど

めんどくさいので

下請けに出した!

 

ということで、

動物を創ることになったデザイン部のお話。

こんなコンセプトよく思い浮かぶな~!

 

お客様は神様。

日々無理難題なお題が降ってきます。

「ふわふわだけととがった動物」

「かわいいけど、かわいくない動物」

などなど...

 

動物のことも楽しくわかる!

今度はどんな動物かな?

など予測しながら見るのが面白いですね。

 

また、クライアントへの文句がリアルで...

下請け業者も大変ですよね(笑)

 

個人的には2話が一番面白かったです。

 

アニメまとめ【異世界転生もの】

無職転生異世界行ったら本気出す(シーズン1)~

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~

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★★★☆☆

赤ちゃんからやり直すパターンの異世界転生もの。

元はニートで引きこもりの主人公が、

魔法や魔物も存在するファンタジー世界に転生。

家にあった魔法の本で魔法を学び、上達していきます。

主人公の目線で世界が描かれており、だんだん転生後の世界が見えてきます。

 

主人公の人柄に、

周りの人間も巻き込まれ、

物事はいい方向へとむかう...と思いきや??

 

表面上とても礼儀正しい少年なのですが、

もともとのスケベな転生前の主人公が見え隠れしたりして....

また、バトルシーンや風景もとてもきれいに描かれています。

キャラクターたちもみな魅力的。

とくにお父さん、いい味出してます...

 

Re:ゼロから始める異世界生活

Re:ゼロから始める異世界生活

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★★★★★

 

言わずと知れた名作のアニメ版ですね。

現在(2021.3月)シーズン2放送中!!

引きこもりの高校生のスバルは、ある日突然異世界に飛ばされます。

そこで出会った美しい少女のエミリア

ですが、彼女はその世界では意味嫌われる容姿でした。

 

事件に巻き込まれたスバルは、自分が死ぬと時間を巻き戻す「死に戻り」の力を手にしていると気づきます。

 

大切な人を守るべく、

いくつもの死を乗り越えて時間を巻き戻し続けるスバル。

はたして、彼は運命に打ち勝つことができるのか。

 

シーズン1も本当に面白かったですが、シーズン2も負けず劣らず面白いですね。

毎回思うのですが、

え、なにこれ?どうなってるの?なんで?

という絶望感と困惑を描き出すのが本当に巧だとおもいます。

そこから、はたしてどう巻き返していくのか?

毎回の話のたびに、本当に次が早く見たい!と思います。

 

スバルほんといいやつだわ頑張ってほしい。。。

そして女の子みんなかわいいね。

 

盾の勇者の成り上がり

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★★★☆☆

 

突如「勇者」として転生した主人公。

しかし彼は、「盾」の勇者だった。

転生した矢先、陰謀に巻き込まれた主人公は名誉と地位を失い、失意の底に突き落とされる。そして、そこから起死回生を狙うのだが....

 

正直1-2話が結構つらいですね。

最初見たときは1話で挫折しました。

ですが他の人も、そこを乗り越えれば面白いと言っていたので見てみると、

確かに面白かった。

 

異世界転生ものは、大抵生まれ変わった勇者がちやほやされて

チートパワーで回り巻き込んで....

みたいのが多い中、新しいパターンだなと思います。

 

なんせ最初から主人公嫌われている上、ほぼ役立たずみたいな扱いです。

そこから、彼が下剋上していくところが見どころ。

主人公最初の事件でこりていて結構性格がねじ曲がっているのですが、

これはこれで、よいです。

下手にきれいごとじゃない勇者もありですね。

 

この素晴らしい世界に祝福を!

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★★★★★

異世界転生とはいえ、逆に振り切った異世界もの。

私はめっちゃくちゃ好きです。

見ると元気になれます。(笑)

 

主人公はファンタジー世界に飛ばされ、そこで勇者になるのか!

と思いきや?

あまり役にたたない神様アクアと、

一発の超強力魔法しか放てない魔法使いめぐみん

どSな騎士のダクネス

と凸凹な仲間たちとくりひろげられる、茶目茶な日常劇。

 

元気がなくなったら見て下さい。

 

Dr.STONE

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★★★★★

 

原作は漫画でこちらも大好きなんですが、アニメも良い!!!

異世界転生ではないかもしれないけど、入れてみました。

 

ある日突然謎の光で全人類が石化。

その後数千年、目覚めた天才科学少年、千空は、

科学の力で原始地球を科学の王国に復興すべく

知識を総動員し、

科学の復興と人類の石化の謎を目指します。

 

これ見てたらみんな理科好きになるでしょう!

てくらい面白い!

千空は確かに天才的なんだけれど、

けして成功ばかりではなくむしろ不器用で、失敗もする。

その中、あきらめずにひたむきにゴールへ向かう姿勢に心打たれます。

シーズン2も見ものですね。

 

幼女戦記

幼女戦記

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★★★★★

 

タイトルから何となく避けていたけど、

ある意味すごくまじめな戦争ものでした。

雰囲気としては進撃の巨人が近いかも?

 

魔法も出てきますが、

基本的には頭脳戦。

幼い少女の姿をしていますが、主人公は頭脳明晰、異世界からの転生者です。

ミスターXとやらに転生させられ、

何とか戦争を生き残ってXの思うようにはさせない、と奮闘します。

 

主人公は決して、

みんなを救ってやろうとか、

みんなを守ろうとは考えておらず、

ひとまず自分が助かろうと考えています。

この戦争でいかに自分が助かるか、を考えているわけです。

そこがまたリアルで引き込まれるポイントでもあります。

 

アニメも非常にきれいで、

バトルシーンも見ものです。

また、主人公の立てていく作戦や戦法も見どころですね。

 

映画も非常に面白かったですよ。

この数秒のシーンに一体何日かかったんだ....

と思わず推測してしまうほどのクオリティ(とくにバトルシーン)。
思わず巻き返してみました。

 

映画もおすすめです。

 

劇場版 幼女戦記

劇場版 幼女戦記

一流の研究者に求められる資質 志村史夫著

一流の研究者に求められる資質

 一流の研究者に求められる資質

 

別の研究者の教授に、修士の学生時代に貸してただいた本です。

博士学生になった後に読み返すと、

胸に刺さるメッセージが由緒に見受けられました。

 

言っていることは特別なことではないのですが、

実際に研究し、論文を書き、学会で発表し...

と経験を積むほど、

言葉の重さが実感されます。

 

研究をしている人が、今一度研究を見つめなおす機会に。

これから研究する人が、指南書に。

いろんな読み方ができるのではないでしょうか。

 

以下、私に刺さった箇所を数か所抜粋します。

 

最先端の機器、装置を獲得しただけで、それらが出してくれるデータを得ただけで、最先端の研究をやった気になってしまっている。..... 独動的研究成果は、”自作機器、装置から生まれることが少なくないのである。 (第一章より)

 

いかに昔の論文であろうと、文献検索手段がなんであろうと、関連分野の重要必須論文をきちんと勉強し、参考文献として引用することは、研究者としての道義、常識、さらには品性であると思う。そして、そのような参考文献をきちんと引用できること自体、その研究者の能力、見識を如実にしめすものであると思う。(第二章より)

 

駆動力となるのが「こだわり」であり、支えとなるのが「信念」である。(第二章より)

 

本物の専門家、一流の専門家は決して「専門家」ではないと思うし、「専門家」は決してほんものの専門家、一流の専門家にはなれないと思う。.....自分の「専門」から離れて異分野の”森”に分け入った時こそ、教えられることが多く、専門の道を深めることができるのである。(第二章より)

 

画期的な、独自的な研究成果であればあるほど認知され、正当に評価されるのは難しいということである。....したがって、自分が研究を発表した時、周囲の研究者あるいは社会にすぐ認知され、よい評価を受けた場合、その研究成果は大したものではないと考えたほうが無難である。(第四章より)

 

 

一人称単数 村上春樹 著

 

一人称単数 (文春e-book)

一人称単数 (文春e-book)

 

 

一昨日、本屋さんの目の前をフラット通ると

村上春樹

の文字が目に飛び込んできました。

(以下ペンネームとして、呼び捨てで書かせていただいてます。ご了承ください。)

 

そのまま引き寄せられるように、この本と「猫を棄てる(村上春樹 著)」を手に取りレジへ直行。

 

久しぶりに村上春樹の繰り出す文字の海に浸れる!

本を買った帰り道って、どうしてこんなに心が満ち足りた気持ちになるのでしょう。

 

この「一人称単数」は、エッセイと短編を合わせたような内容でした。

この前にエッセイ「猫を棄てる」を読んだせいもあるのでしょうが、この短編ではいつも以上に、村上春樹自身が主人公のである「僕」に投影されているようです。

 

あれこれもエッセイだったのか。

ともったら、「あれ、やはり短編小説なのか」

と思わされたり、あっちに行ったりこっちに行ったり。

現実のような、非現実のような。村上春樹ワールド。

今回はこれまでの短編および長編、そしてエッセイの内容が随所にちりばめられ、また昔の短編も読み返したくなりました。

 

特に最後の「一人称単数」は、なんという終わり方....

何かの物語とつながっているのだろうか。

海辺のカフカかな、それとも羊?それとも無関係?

とにかく気になる。

 

私は文学的知識人というわけではないので、

村上春樹の主人公が潜る井戸がイドの隠喩だとか、そういう解釈的なものは実際のところよくわかりません。そうなのかもしれないし、そうでないかもしれない。その程度にしか思いません。

 

じゃあ何をもってして村上春樹作品を読むのかというと

彼の織り成す言葉にただ浸りたいからです。

 

風が通りすぎるかのように、さぁーと言葉が頭の中をながれて、通り過ぎていく。

それは心地よく流れ、あまりに自然なので言葉が通り過ぎたときには、自分が一体何を読んだのかもきちんとは覚えていません。でもそれは、たしかに何か、雰囲気のような、言葉で表せない「空気感」を体のなかに残していきます。

 

とても巧みな描写と直喩で、読者が気遣いないうちに本の世界へ誘い込む。話の内容は現実的であり、非現実的。それなのに、その境界があまりに曖昧で自然に非現実へ誘い込まれるため、非現実的な部分までなんだか信じてしまう。もういったい何が本当でなにが本当でないのか。

 

そしてその解決の糸口もないまま、物語は終わり、読者は現実とも非現実ともつかない中間世界に放り出される。この、心地の良いフラストレーションが、また村上春樹を読みたいと中毒的に思わせる原因なのかもしれません。

 

また前の作品も読み返そう。