映画にもなった『愛がなんだ』
角田光代さんの本が原作です。
読んだ後
そういう終わりかぁぁぁぁっぁ
愛ってなんだぁぁっぁぁぁ
所謂『愛がなんだ』症状（と妹と勝手に呼んでいる）にかかりました。
ざっくり言ってしまうと、全く物語が解決しないんです。でも本は終わるのです。ぎゃにそこがとてもリアルだな、と感じました。
さて、ざっくりした本の内容です。
主人公のテルコは、もともと恋愛にはまりやすい体質で、だれかを好きになるとのめりこんでしまうタイプ。しかもあまり「幸せな恋」ではなく、恋人にとことん振り回されるタイプです。
テルコは「マモちゃん」が大好き。すべてにおいてマモちゃんが最優先。マモちゃんに呼ばれれば仕事もほかの約束もすべてほったらかして予定を合わせてしまいます。しかもテルコはマモちゃんと付き合っているわけでもなく、なぁなぁな関係を続けており、マモちゃんから呼び出されるのを待っている「受け身」状態です。
主人公曰く、「マモちゃん以外はどうでもいい」
そんなテルコの友達の友達、葉子はテルコとは全く違うタイプの人間です。
誰か一人に執着せず、男は利用してなんぼ、くらいの勢い。
自分から家に呼び出しておいて別の用事に行ってしまうような人間。
ですがそれはそれで魅力的な面も持っています。
テルコに対しての葉子の言葉は時に極端ですが適切でもあります。
そんな葉子を好きな男の子は何人もいて、テルコはどちらかといえばそれらの男の子と同じタイプです。
あるときマモちゃんに「好きな人」ができます。
今までさんざんテルコを振り回してきたマモちゃんが今度は好きな人のために奔走する姿を見てもなお、テルコは自分の気持ちを変えることはできず....
どんなにかっこ悪くても、うまくいかなくても、好きな人のそばにいたい、というテルコの気持ちは痛いほど切実でリアルだな。と思いました。
テルコそれはやめとけ...友達なら止めてる！
と思ったけど自分がテルコだったらやっぱり同じようにしてしまうかも...と思ったり。
どんな形でも好きな人のそばにいたい、と思うのが愛なのか。
それとも相手と自分の関係を考えたうえで身を引くのが愛なのか？
他人から見て幸せになれない恋だとしても、それだけ誰かを思えることはある意味では幸せなのかもしれません。幸せは人それぞれですものね。
そして現実は物語のように綺麗には終わらず、かならず続きがあるという事実。
愛ってなんでしょうね。
